Chapter 2 Congestion and Frequency-Modulation Research, 1913-1933, pp.37-60. 第二章の前半では、著者が「スペクトルパラダイム(spectrum paradigm)」と名付けるパラダイムが関係者らに定着していく様子が描かれる。スペクトルパラダイムとは、波長を表…
Chapter 1: AM and FM Radio before 1920 (pp.12-36) 第一章では、1920年代以前に存在していたFM技術について述べられる。一般的にFM技術は1933年にアームストロングが発見したと認識されているが、それは誤りである。Cornelius Ehretという人物は、1902年の…
Gary L. Frost, Early FM Radio- Incremental Technology in Twentieth- Century America, Baltimore: The Johns Hopkins University Press, 2010. 以下、序章の覚書です。 Introduction (pp.1-11) 本書は、周波数変調(FM)ラジオの従来の歴史との決別を示す…
Aitken Continuous wave, Chapter 4 De Forest and the audion (pp.162-249) 本章では、主にオーディオンの発明者であるド・フォレストに焦点が当てられる。 著者によれば、ドフォレストの活動は2つの時期に区分できるという。一つは、彼がイエール大学に在…
Edward W. Constant Ⅱ, ”A model for Technological Change Applied to the Turbojet Revolution” Technology and Culture, Vol.14, No.4 (1973), pp.553-572. クーンのパラダイム論を技術史へ応用した初期の試みとして、しばしば言及される論文である。(本…
ブライアン・アーサー(日暮雅通訳)『テクノロジーとイノベーション- 進化/生成の理論』(みすず書房、2011年) 興味深い内容で、技術史研究に取り組む上でも非常に示唆的だったので、詳しくレビューしていきます。 テクノロジーとイノベーション―― 進化/生成の…
真空管の歴史を扱った最も重要な文献の一つに、Saga of the Vacuum Tube, Indianapolis: H.W. Sams & Co. 1977. がある。 2-4章を読んだ限り、本書は図面が豊富で、真空管の性能に関する情報が詳述されている一方、真空管技術を取り巻く社会的背景の描写や、…
Aitken Continuous wave, Chapter 3 Elwell, Fuller, and the Arc (pp.87-161) 本章では、フェデラル無線電信のElwellおよび彼の後継者であるFullerという人物に焦点を当て、彼らが火花式からアーク式へと送信技術を一新させる過程が描かれる。アーク送信機…
Chapter 2 Fessenden and the Alternator (pp.28-86) 以下はかなり長文になっていますが、私が理解した範囲で、第二章の内容をまとめています。 (三章以降はもっと簡潔にします。) 1899年11月22日に、Western university of Pennsylvania(現在のピッツバーク…
Hugh D.J. Aitken Continuous Wave: Technology and American Radio. 1900-1932, Prinston University press, 1982.という文献を読みます。 かなり高い山ですが、少しずつ登っていきます。読書メモ(主に要約文)を作成しながら、読み進めていきます。 余裕が…
ある作業がひと段落ついたので、兼ねてから読みたいと思っていた宮崎駿『出発点』を一気に読んだ。思いつくままに、つらつらと感想を書いておく。 本書には、1979年から1996年までに様々な媒体に発表された対談、企画書、講演、エッセイなどを収録されている…
本書は、ソウル国立大学の教授であるHong(洪)氏が、マルコーニの無線電信機から三極真空管までの無線通信の歴史を描いたものである。初期の無線通信史の先行研究としては、Aitkenによる『同調と火花』、『連続波』があるが、彼でさえも科学的・工学的実践の…
David Edgerton (2007) “The shock of the old- Technology and Global History Since 1900” Oxford University Press Chapter 4 Maintenance メンテナンス(maintenance)は、人とモノとの関係において非常に重要な活動であるにも関わらず、技術史でもあまり…
Hugh G.J. Aitken, Syntony and Spark: The origin of radio (New York: Wiley, 1976),(Princeton Univertsity Press,Princeton Ligacy Library,2014), pp.298-340. 最終章では、序章で設定されていた問題、すなわち、科学と技術と経済という3つの社会的活動…
: The origin of radio, Wiley, New York,1976. (Princeton Univertsity Press,Princeton Ligacy Library,2014), Chapter 5.後半(pp.244-297) 5章後半の内容のまとめ。備忘録です。 マルコーニが、火花式(disc-discharger)によって、連続波に近い波の発振を…
Hugh G.J.Aitken , Syntony and Spark: The origin of radio, Wiley, New York,1976. (Princeton Univertsity Press,Princeton Ligacy Library,2014), Chapter 5.pp.179-244. 以下では、第五章の前半までの内容をまとめています。ここでは、グリエルモ・マル…
『透明な迷宮』は、2014年に刊行された短編集で、著者自身による創作時期の分類によると、第4期(後期分人主義)に含まれる作品だ。一つ一つの小品は完全に独立しているわけではなく、テーマや要素が緩やかに重なり合う6つの短編が収録されている。 作風として…
Hugh G.J.Aitken , Syntony and Spark: The origin of radio, Wiley, New York,1976. (Princeton Univertsity Press,Princeton Ligacy Library,2014), Chapter 4. 後半(pp.124-178) ようやく第四章を読み終えました。正直、かなり苦戦しています。特に電子工…
Hugh G.J.Aitken , Syntony and Spark: The origin of radio, Wiley, New York,1976. (Princeton Univertsity Press,Princeton Ligacy Library,2014), Chapter 4. 前半(pp.80-124) 前章のヘルツに続いて、第四章ではオリバー・ロッジの業績を中心に論じられ…
これまで、『ある男』、『マチネの終わりに』、『空白を満たしなさい』と著者の長編小説を時代を遡っていくように読んできた。そして、今回読んだ『かたちだけの愛』という小説は、僕にとって、4作品中一番読み応えがあり、もっとも好きな作品になった。 多…
一度死んだはずの人間が生き返ってくる。 この非現実的な設定を通じて、あるいは一つの思考実験を通じて、人間が生きるということまた死ぬということは何なのか、そして人はなぜ自殺をするのかという問題を考えた長編小説である。 主人公の徹生は、ビールの…
Hugh G.J.Aitken , Syntony and Spark: The origin of radio, Wiley, New York,1976. (Princeton Univertsity Press,Princeton Ligacy Library,2014) , chapter 3 . 第三章は、ハインリッヒ・ヘルツの業績を中心に論じた章である。彼は、マックスウェルの理…
とてもいい物語だった。この小説を読んでいたここ一週間、本を開いている間は、この物語世界にどっぷりと浸ることができた。 本書では、臓器移植、在日朝鮮人へのヘイトスピーチ、デモへ参加することの是非、死刑の是非、死刑囚の子どもなど、数多くの社会的…
Hugh G.J.Aitken , Syntony and Spark: The origin of radio, Wiley, New York,1976. (Princeton Univertsity Press,Princeton Ligacy Library,2014) “syntony”(同調)という言葉は、現在ではほとんど用いられない言葉であるが、元々は無線通信の用語としてOl…
Hugh G.J.Aitken , Syntony and Spark: The origin of radio, Wiley, New York,1976. (Princeton Univertsity Press,Princeton Ligacy Library,2014) 技術史家Aitkenによる無線通信史の古典を、少しずつ読んでいきます。 第一章 新しい物事はいかにして生じ…
Jeremy Vetter “Explaining Structural Constrains on Lay Participation in Field Science” Isis,Vol110,No2,pp.325-327. ↓DL可 https://www.journals.uchicago.edu/doi/full/10.1086/703334 Jeremy Vetterは、20世紀西アメリカのネブラスカの採掘場おける…
本書は、軍事研究の反対論を唱えてきた著者が、若い研究者へ向けて「軍事研究に手を染めてはいけない」という倫理的な規範を示した指南の書である。 池内了『科学者と戦争』(岩波新書、2016年)は、益川敏英『科学者は戦争で何をしたか』(集英社新書、2015年)…
菊池慶彦「第一次大戦期の世界電球市場と日本の電球産業」『経済学』(東北大学研究年報)第75巻、3,4号 (2017年)、93-121頁。 ↓以下よりDL可 https://www.google.com/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&ved=2ahUKEwjMrp-3lMfnAhWPw4sBHYxRAi4QFjAAegQ…
菊池慶彦「タングステン電球の普及と東京電気の製品戦略」『経営史学』第48巻、第2号(2013年)、27-52頁。 以下よりDL可。 https://www.jstage.jst.go.jp/article/bhsj/48/2/48_2_27/_pdf 本論文は、同じ著者による論文「日露戦後の電球産業の成長」に続く内…
菊池慶彦「日露戦後の電球産業の成長」『経営史学』第47巻第2号(2012年)、3-29頁。 ↓以下からDL可。 www.jstage.jst.go.jp 本論文では、前著「日本における電球産業の形成」(2007年)で扱われなかった1907年以降の電球産業の様子が描かれる。ポイントは、(1)G…