yokoken001’s diary

読書メモ・レジュメ・レポートなど

文学(小説、詩、戯曲など)

平野啓一郎『透明な迷宮』を読みました。

『透明な迷宮』は、2014年に刊行された短編集で、著者自身による創作時期の分類によると、第4期(後期分人主義)に含まれる作品だ。一つ一つの小品は完全に独立しているわけではなく、テーマや要素が緩やかに重なり合う6つの短編が収録されている。 作風として…

平野啓一郎『かたちだけの愛』を読みました。

これまで、『ある男』、『マチネの終わりに』、『空白を満たしなさい』と著者の長編小説を時代を遡っていくように読んできた。そして、今回読んだ『かたちだけの愛』という小説は、僕にとって、4作品中一番読み応えがあり、もっとも好きな作品になった。 多…

平野啓一郎『空白を満たしなさい』を読みました。

一度死んだはずの人間が生き返ってくる。 この非現実的な設定を通じて、あるいは一つの思考実験を通じて、人間が生きるということまた死ぬということは何なのか、そして人はなぜ自殺をするのかという問題を考えた長編小説である。 主人公の徹生は、ビールの…

平野啓一郎『ある男』を読みました。

とてもいい物語だった。この小説を読んでいたここ一週間、本を開いている間は、この物語世界にどっぷりと浸ることができた。 本書では、臓器移植、在日朝鮮人へのヘイトスピーチ、デモへ参加することの是非、死刑の是非、死刑囚の子どもなど、数多くの社会的…